主な研究テーマは、鑑別診断に有用と考えられる様々な顎口腔領域疾患の特徴的所見をCT、MRI、PET/CTなどの断面画像から抽出し、これらの疾患に対する診断能の向上を目指すものです。特にMRIでは装置性能の進歩に伴って、画像クオリティの改良のほかに、様々な撮像法を行うことが可能になってきています。当分野においても神経血管系疾患や顎関節疾患等を対象とした新しいMRI 診断法の開発を目指して研究を行っています。
その他、顎口腔領域の悪性腫瘍患者の予後予測におけるCT、MRI、PET/CT画像解析の役割およびその有用性に関して研究を進めています。近年、様々な医用画像のテクスチャ特徴量を解析し、これらが病変の良悪性鑑別や予後予測において有用であることが示唆されています。当分野では、難治性口腔がんにおける画像診断学的な特徴量を抽出し、このようながんに対する放射線治療による攻略に寄与できる画像診断法の確立を目指して研究を行っています。また悪性腫瘍患者の予後リスクを治療前画像検査から数値化して予測する方法に関して研究を進めています。
放射線治療をはじめとするがん治療が腫瘍細胞にどのような影響を与えるかを明らかにし、より治療効果を高めるための基礎的研究を展開し、日々臨床現場への応用可能性について模索しています。特に力を入れている研究のひとつがFucciと呼ばれる細胞周期可視化ツールを応用した細胞周期動態解析です。Fucciとは、2008年に理研の宮脇博士らのグループにより開発されたシステムであり、このシステムを細胞に導入することで、生細胞において細胞周期をそれぞれの周期相に発現する蛍光色の違いから判別することができます。私たちは、このFucciを応用し、放射線や抗がん剤を腫瘍に作用させ、細胞周期動態がどのように変化し、それが細胞死や再増殖にどのように関連しているのかについて研究を進めています。
また、口腔がんをはじめとする頭頚部がんでは、p53と呼ばれるがん抑制因子に変異が高頻度に発生することが知られております。当分野では変異p53の安定化機構に着目し、癌治療抵抗性機構獲得における役割に関する研究も展開しています。
以下の研究では、過去に患者さんから得られたデータをもとに研究が進められています。これらの研究は、厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」および「疫学研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得るのではなく、掲示などにより研究内容についての情報を公開することが必要とされております。個々の研究についてのお問い合わせはそれぞれの問い合わせ先にご照会ください。